まとめて予約していた本がどっと返却期限を迎えてしまい、急ぎ足で読んだ4冊の感想です。
1.『「疲れない人」の習慣、ぜんぶ集めました。』工藤孝文 監修 評価C
以前、健康系の本をまとめて予約していたもので、忘れた頃に順番が回ってきた一冊です。慢性疲労を感じている人に向けて、食習慣・睡眠・姿勢・メンタルなど多角的な視点から生活習慣を見直すヒントが詰まっています。
読んでみての正直な感想は「そもそも自分、そんなに疲れてないな…」というものでした(笑)。食習慣の章では「夕食にキムチを食べると良い眠りが得られる」という話が興味深く、業務スーパーでお気に入りのキムチをす毎日食べているので、ちょうど良い習慣が出来てそうです。睡眠や心の癒しについても、すでに自分なりのルーティンが確立されているため、新たな取り組みは不要そうでした。
収穫があったとすれば、「カラオケで幸せホルモンが分泌される」という話。調べてみると自転車で行ける距離にカラオケ屋があることもわかり、これは今後の候補に入れておこうと思っています。楽器演奏も同様の効果があるようで、音楽系の趣味を本格的に導入するきっかけになりそうな一冊でした。
2.『反脆弱性 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方(上)』ナシーム・ニコラス・タレブ著 評価S
AIに強くおすすめされた本です。著者はブラックスワンで有名なタレブ氏。以前同書を読んだ記憶があるのですが、内容がほぼ記憶に残っておらず…今回は気を取り直して手に取りました。読んでいると眠くなるほど密度が高く、実際に何度か爆睡してしまいましたが(笑)、内容は思ったより読みやすく、これは自分もそう、と感じる場面がいくつもありました。
反脆弱性とは何か
本書のコアとなる概念は3段階に分類されています。
- 脆弱(Fragile):ショックで壊れる
- 頑健(Robust):耐えるが変化しない
- 反脆弱(Antifragile):ストレスやランダム性から強くなる
単に「強い」ではなく、揺さぶられるほどに成長するという性質が「反脆弱」です。筋肉は負荷をかけなければ育たず、免疫は病原体にさらされることで強くなる。この原理は、投資・生活習慣・意思決定など、あらゆる領域に適用できる考え方だとタレブは説明しています。
ストレスゼロの生活は危険である
読んでいて最も刺さったのが、「ストレスが不足すると老化が加速する」という点です。
快適さを追求しすぎると、システムは脆くなる。これはFIRE後の生活設計において重要な警告だと感じました。「ストレスゼロの生活」を目標にすることは、一見理想的に見えて、実は緩やかな劣化への道かもしれません。
そこで意図的に「締め切りや負荷のある場面」を年に数回設けることを考えています。確定申告・投資の定期評価・ゲームのクリア期限設定などが具体的な候補です。大きな傷はもう要りませんが、劣化防止のための「小さな傷」は意図的に取りに行く必要があると確認しました。
心的外傷後成長と「小さな毒」の設計
本書では「心的外傷後成長(PTG)」という概念も紹介されています。大きな困難や苦境を経て、人は以前より強くなれるという考え方です。振り返ると、自分の人生でも大きな局面が何度かあり、その度に何らかの形で前進できてきたように思います。
ただ、今後はもう大きな負荷は要りません。そこで参考になったのが、「システムにあえて小さな毒を注入する」という発想です。成長までいかずとも、感覚を鈍らせないために。FX小ロットでのトレードを続けることも、慢心を防ぐための「小さな毒」として機能するかもしれません。大きく儲かっているときほど、負けることを忘れてしまうものです。何度も痛い目にあいながらも毎回忘れてきたため実感があります。
ランダム性を取り入れる
本書ではランダム性・無秩序を積極的に活用することの価値も語られています。人が設計した最適化アルゴリズムより、ランダムな選択の方が優れた結果を出すことがある、という指摘は直感に反するようで、知識としては以前から持っていました。
そういえば、なぜサガシリーズのゲームに1000時間以上費やしてしまったのかも、今になって少しわかる気がします。戦闘のランダム要素が強く、先が読めない展開が続くから飽きないのですよね。
サガって理不尽なところもあるんですが、あの油断すれば詰む・油断しなくても運が悪いと詰む、という感覚が延々やれてしまう理由なのかもしれません。
このアイデアを受けて思いついたのが、ランダム株式購入ルールです。週1回、乱数で東証プライムの銘柄を選んで少額購入し、半年後に売却する。深く分析せず、意味を持たせず、ただランダム性を楽しむ。例外として、25%超のリターンが出た銘柄は半分だけ永久保有するルールも加えます。
購入後はAIに「何をしている会社か」「何で儲けているか」「なぜ最近動いているか」程度を聞く。それ以上は調べない。決算も読まない、将来性も考えない、バリュエーションも見ない。新聞をざっと読む程度の感覚で、FIRE後に浮世離れしすぎないために確認するイメージです。
オプション性という考え方
本書で紹介される「オプション性」という概念、最初はピンときませんでした。損失は限定的で利益は青天井という構造のことです。
ただ、よく考えると自分はすでにこれを一部実践しているところもあるように感じました。2億円超の資産があれば、会社を辞める権利を持ちながら辞めずにいる間も給与が入り続ける。辞める・辞めないの選択肢を持ちながら、最もよいタイミングを計っている。これがオプション性の実践そのものかもしれません。概念として語られるとわかりにくいのですが、自分の行動としては無意識にやっているようにも思います。
先延ばしの再解釈
「先延ばしは反脆弱な人間の本能的な防衛手段」という話も興味深いものでした。ただし注意が必要で、タレブの言う先延ばしは「情報が揃うまで判断を保留する」という戦略であり、「面倒だから後回し」とは別物です。
FIREのタイミングを慎重に計るのは前者。家の片付けを後回しにするのはどう見ても後者です(笑)。自分の「先延ばし」がどちらに属するか、都度確認する習慣をつけようと思いました。
教育・投資・日本社会への視点
本書はそのほかにも、教育と経済成長の関係、投資における非合理な行動の役割、新聞が毎日紙面を埋めなければならないことで生まれる「ノイズ」の問題など、次々と登場します。
特に教育については考えさせられました。教育は「平均を守るためのインフラ」であり、成長は「外れ値が作るもの」だという説明です。日本が成長しない理由は、教育の質より「何度も失敗できる構造になっていない」ことにあるのかもしれません。間違えない人に優しく、何度も試す人に厳しい社会では、反脆弱な人材は育ちにくいのでしょう。
久々に、読みながらずっと考え続けた一冊でした。FIRE後の生活設計、投資方針、日々の習慣設計まで、具体的なアクションに落とし込める要素が多く、下巻も読む予定です。
3.『自然治癒力を引き出す 老化も病も予防できる』伊藤壽記著 評価B
こちらも予約していた健康系の一冊です。人間が本来持つ自然治癒力を高め、健康寿命を延ばすための方法が解説されています。
ポリフェノールの効能が強調されていたため、日頃飲んでいる麦茶を変えようかと少し考えましたが、麦茶にも独自の健康成分が含まれていることが、今回調べてみたことで解り、現状維持となりました。サプリメント関連では読んでいる最中にいろいろ調べるきっかけになりました。実用的に活用できた一冊です。
4.『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論』デヴィッド・グレーバー著 評価C
AIおすすめ本の一つです。「ブルシット・ジョブ」とは本人でさえ存在を正当化できない、社会的に無意味な仕事のこと。アンケートによると3〜4割の人がそういった自覚を持っているというから驚きです。
技術系の実務で製品を作り、売上や実社会にもそれなりに貢献してきた自分には正直ピンとくる話ではありませんでした。「意味があるかより、いかに楽に稼ぐか」で働いてきたので、意味のなさで精神的苦痛を感じるという感覚がなかなか共感しにくいです。
ただ読み進めると、「管理職が部下の数や予算規模で評価される構造が、無意味な仕事を増殖させる」という解説には納得できるものがありました。パワハラ対策担当、メンタルケア担当と、問題を潰すための仕事がさらなるブルシット・ジョブを生む連鎖は、身近で見てきた光景でもあります。
惜しいのは、本書が問題提起に終始し、個人へのの処方箋がほぼないこと。社会構造を変えるべきという結論は理解できるのですが、個人にできることは与えられた環境の中で最良解を探し続けることだけです。氷河期世代として、そうやって生きてきた身からすると、少し物足りなさを感じました。
とはいえ、「意味のない仕事で苦しむ人がなぜ存在するのか」については理解できましたし、自分がそこに該当しない理由も改めて解った気がします。
まとめ
今月は健康系2冊、社会系2冊という構成でした。中でも『反脆弱性(上)』は久々に読みながら考えさせられ続けた一冊で、FIRE後の生活設計に具体的な影響を与えてくれました。「適度なストレスを意図的に取り入れる」という発想は、これからの生活で取り入れるべき要素となりそうです。


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