FIREについて調べていると、「貯蓄率こそが最も重要だ」という話をよく耳にします。
確かに、計算上の理屈はその通りだと思います。
例えば、年間の運用利回りを5%と仮定した場合、貯蓄率によってリタイアまでに必要な期間は次のように変わります。
貯蓄率とリタイアまでの期間(利回り5%想定)
| 貯蓄率 | リタイアまでの期間(目安) |
| 10% | 約51年 |
| 20% | 約37年 |
| 30% | 約28年 |
| 50% | 約17年 |
| 70% | 約8.5年 |
このシミュレーションの興味深いところは、計算式の中に「年収がいくらであるか」という項目が入っていない点です。
年収1,000万円で貯蓄率10%の人よりも、年収400万円で貯蓄率50%の人の方が、圧倒的に早くリタイアできる。
この「収入が低くても、支出を抑えて貯蓄率を上げればFIREへの近道になる」という論調は、非常に耳当たりが良く、希望があるように聞こえます。
ですが、これについてHodoは「本当にそうなのだろうか」と立ち止まってしまいます。
貯蓄率の計算式に隠された「罠」
貯蓄率を分解すると、「貯蓄額 ÷ 収入」であり、さらに細かく言えば「(収入 - 支出)÷ 収入」です。
結局のところ収入も影響しているのですが、もし収入を変えずに貯蓄率を上げようとするなら、支出を削るしかありません。
ここで見落としがちなのが、このシミュレーションの前提条件です。
「設定した貯蓄率で算出された生活水準を、リタイア後も一生続けること」が前提になっています。
FIREのために無理をして支出を極限まで削り、短期間で目標に到達したとしても、リタイア後に支出を緩めることは計算上許されません。その「頑張った状態」を一生続けなければ、資金計画は崩れてしまいます。
Hodo個人としては、実はこれまで貯蓄率を厳密に計算したことはありません。数値そのものよりも、「その生活が自分にとって自然かどうか」の方が重要だと考えているからです。
支出を最適化する「自然体」の節約
結局のところ、節約は無理をして頑張るものではないと思います。
自分にとって必要のないものにはお金をかけず、必要なものにはしっかりかける。生活の質を落とさずにコストだけを削減していくのが、自然体で持続可能な節約ではないでしょうか。
Hodoが実際に行っている、あるいは効果的だと考えている「固定費の最適化」をいくつか挙げます。
1. インフラ・住居費の最適化
- 固定費の切り替え: 電気・ガス・通信費を安い業者へ見直す。補助金利用しながら太陽光設置。
- 持ち家の活用: 住宅ローンは、見方を変えれば非常に有利な借金です。住宅ローン控除などの節税効果や、団信による保険料削減も期待できます。個人的には、同じコストを払うなら、賃貸より生活の質が高くなる側面もあると感じています。
2. 保険の見直し
- 不要な保険の整理: 遺族年金や団信でカバーできる範囲を理解し、営業担当者に勧められるままの加入は避けます。
- 節税目的の活用:
- 明治安田生命「じぶんの積立」(生命保険料控除)
- JA共済「ライフロード」(個人年金保険料控除)
- 相続税対策としての生命保険控除(500万円 × 法定相続人の数)
3. 購入方法の最適化
同じものを買うのであれば、仕組みを利用して安く手に入れます。
- 楽天経済圏: 買い回りキャンペーン等を活用し、実質20%引き程度で購入。
- ウエルシア感謝デー: 毎月20日にWAONポイントを利用し、実質33%引きで買い物。
- ポイントの貯め方: 投資信託のカード積立(即売りで低リスク)や、投信マイレージ(保有残高による還元)、イオンの株主優待などを組み合わせます。
4. 価値観ベースの取捨選択
ここは個人差がありますが、Hodoは以下のような選択をしています。
- 車: 普通車ではなく軽自動車にする(年10〜15万の差)。
- スマホ: iPhoneではなく廉価なAndroid(年2〜3万の差)。HodoにとってiPhoneは富裕層の持ち物という感覚があり、一度も購入したことがありません。注:価値観には個人差があります
- 日常の習慣: セルフカット(年2万)、自家製ヨーグルト(年1万)、弁当・水筒の持参(外食比で年15万)など。これらも積み重なると大きな差になります。
あと、ソシャゲは無課金です(必須)。攻略できないからって課金するようだとゲームする意味ないよね。
「向いていないこと」を止める勇気
節約の中でも、特に効果が大きかったのが「自分に向いていない自己投資を止めること」でした。
以前、英語の家庭教師を年50万円ほどかけて数年間雇っていましたが、正直なところ効果はほとんどありませんでした。
ふと「英語ができなくても、今の仕事は問題なく回っている」と気づき、思い切って止めることにしました。自分にはその才能がなかったのだと再認識したのです。
数百万円の損失にはなりましたが、この「向いていないことを止める」という決断が、結果として一番の節約になりました。
一方で、以下のような「無理のある節約」は良くある例ですけど長続きしませんし、おすすめしません。
- スーパーを何軒もはしごする
- 毎日の自炊を義務化して自分を追い込む
- 趣味や交際費をゼロにする
- 空調や水を過度に我慢する
- ゆとりのない空間で暮らす
無理の無い節約というのは、QoLを削減するのではなく、QoLを維持したままコスト構造を見直すことだと考えます。
やりたいことは無理に制限せず、将来と同じくらい「今」も大切にしたいものです。
結局、最後は「収入」に帰結する
改めて貯蓄率の式を眺めてみます。
貯蓄率 =(収入 - 最適化後の支出)÷ 収入
支出の削減には限界があります。無理なく自然体で生活できる水準まで下げきってしまうと、それ以上は削れません。
つまり、支出の最適化が終わった人が、さらにFIREまでの期間を短縮しようと思えば、あとは「収入を上げる」しかないのです。
支出削減は有限ですが、収入増加には理論上は天井が無く、両者は非対称の関係にあります。
まとめ
貯蓄率によるシミュレーションはあくまで目安です。
大切なのは、以下のサイクルだと考えています。
- 無理な節約はしない
- 自然体で固定費を最適化する
- 税制や仕組みを理解して賢くコストを抑える
「その生活のまま、永久に生きられるか」
これを満たす前提で、違和感のない数字が出てくるのであれば、それが「真の貯蓄率」なのだと思います。
その上で貯蓄率を上げたければ収入を上げるしか無いということになります。
(結局、支出の最適化が終わると収入しか影響してないじゃん!)
※「収入を上げるべき」という話ではなく、自然体で削れる支出には限界がある以上、貯蓄率をさらに改善する余地は計算式上、収入側にしか残らない、という意味です。
なお、自分は貯蓄率の計算はしません。
今の生活が、今後も続けていきたい生活だからです。貯蓄率は結果論であり、貯蓄率のために生活を変えるのは本末転倒だからです。


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