もうすぐ退職を控えていることもあり、退職金(DC年金)をどう受け取るか、自分のDC年金・iDeCoの出口戦略について必要な情報を整理し、試算してみました。
ネット上には「分割と一時金の併用」「退職金から19年あけて非課税枠を復活させる」などの情報がありますが、これが自分のケース(52歳前後退職予定、退職金150万円予想、現在のDC年金評価額約2,800万円)にそのまま当てはまるのか確認するため、税金の計算から運用利回りごとの手取り額までシミュレーションを行いました。
制度と自分の数字の確認
シミュレーションに入る前に、制度の仕様と自分の状況を照らし合わせました。
運用期間(加入期間)の確認
転職したり、以前の会社で確定給付型(DB)年金から確定拠出型(DC)年金へ制度が変更されたりした経緯があり、正確な通算拠出期間がわからなくなっていました。DC年金の管理口座に直接問い合わせて、新卒からずっと拠出期間の対象であったことを確認しました。
退職金とiDeCoの「19年ルール」と「みなし控除」
退職金を受け取った後、19年以内にiDeCoを一時金で受け取ると、退職所得控除の計算で期間の重複調整が行われます。19年以上あければ控除枠は全額復活します。自分の場合、52歳時の退職金が150万円予想とかなり少額なため「みなし勤続年数」の特例が適用され、重複扱いは3年分(控除額への影響は120万円分)で済むことがわかりました。
退職所得控除の「改悪」の噂
「勤続20年以上の控除額が年70万円から年40万円に減らされるのでは」という件についてWebで事実関係を確認しました。政府の税制調査会で議論はされたものの、直近3年連続で見送られている状況です。ただ、将来の改悪リスクとしてシミュレーションのパターンには組み込みました。
iDeCoの加入可能年齢の引き上げ(70歳まで)
制度変更により、国民年金(老齢基礎年金)を受給していなければ最大70歳までiDeCoに拠出可能になります(2026年12月1日施行予定)。これを利用するには、年金の繰り下げ受給とiDeCoの加入期間延長をセットで考えることになります。
シミュレーションの前提条件
こちらが現在の運用状況です。転職して口座が変わったりで成績がリセットされているため、実際の拠出額はもっと低いです。

DC年金以外の退職金が150万円予想なので、実質的な退職金の総額は1000万円届かなそうですね。。。
運用で増えているだけで、もし運用してなかったら一般的な退職金の半分もなかったかも
シミュレーションはこれをスタート地点とします。
| 項目 | 内容 |
| 初期資産(52歳時点) | 2,800万円 |
| 新規拠出額・口座管理手数料 | 比較をシンプルにするため便宜上0円 |
| 運用利回り | 年利1% / 3% / 5% / 9%の4パターン |
※ 9%は今後の現実味は低いと考えていますが、上振れ時の挙動確認として設定しています。(過去実績は10%くらいだったので。。)
受取パターンは以下の4つで比較します。
| パターン | 受取時期 | 拠出終了 | 通算拠出期間 |
| パターン0 | 60歳 | 60歳 | 35年 |
| パターンA | 71歳 | 60歳 | 35年 |
| パターンB | 71歳 | 65歳 | 40年 |
| パターンC | 71歳 | 70歳 | 45年 |
また、パターン0の60歳手取り額を特定口座(約20%課税)で71歳まで運用し続けた場合も比較対象に加えました(パターンP0)。iDeCoの累進課税と特定口座の一律課税で、税負担がどのタイミングで逆転するか確認するためです。
なお、分割受取(年金受取)はシミュレーションから除外しています。自分の場合、公的年金が月14〜15万円(年168万〜180万円)見込んでいるため、「公的年金等控除」の枠(65歳以上で最低110万円)はすでに使い切っています。ここにiDeCoの年金を上乗せすると全額が雑所得となり、翌年の社会保険料まで増大するデメリットがあるため、最初から選択肢を絞りました。※相続税節税効果もあるが、今回のシミュレーションでは除外
シミュレーション結果
① 60歳で受け取る場合(通算35年・19年ルールなし)
退職所得控除:現行1,730万円 / 改悪案1,280万円
| 運用利回り | 額面(受取総額) | 現行制度:手取り額 | 改悪案:手取り額 | 改悪による減少額 |
| 1% | 3,032万円 | 2,878万円 | 2,804万円 | -74万円 |
| 3% | 3,547万円 | 3,307万円 | 3,209万円 | -98万円 |
| 5% | 4,137万円 | 3,768万円 | 3,670万円 | -98万円 |
| 9% | 5,579万円 | 4,886万円 | 4,772万円 | -114万円 |
② 71歳で受け取る場合(19年ルールで控除復活)
【パターンA】60歳まで拠出(通算35年) 退職所得控除:現行1,850万円 / 改悪案1,400万円
| 運用利回り | 額面(受取総額) | 現行制度:手取り額 | 改悪案:手取り額 | 改悪による減少額 |
| 1% | 3,383万円 | 3,191万円 | 3,109万円 | -82万円 |
| 3% | 4,910万円 | 4,404万円 | 4,283万円 | -121万円 |
| 5% | 7,075万円 | 6,046万円 | 5,910万円 | -136万円 |
| 9% | 1億4,397万円 | 1億1,379万円 | 1億1,219万円 | -160万円 |
【パターンB】65歳まで拠出(通算40年) 退職所得控除:現行2,200万円 / 改悪案1,600万円
| 運用利回り | 額面(受取総額) | 現行制度:手取り額 | 改悪案:手取り額 | 改悪による減少額 |
| 1% | 3,383万円 | 3,235万円 | 3,143万円 | -92万円 |
| 3% | 4,910万円 | 4,473万円 | 4,324万円 | -149万円 |
| 5% | 7,075万円 | 6,142万円 | 5,977万円 | -165万円 |
| 9% | 1億4,397万円 | 1億1,519万円 | 1億1,308万円 | -211万円 |
【パターンC】70歳まで拠出(通算45年) 退職所得控除:現行2,550万円 / 改悪案1,800万円
| 運用利回り | 額面(受取総額) | 現行制度:手取り額 | 改悪案:手取り額 | 改悪による減少額 |
| 1% | 3,383万円 | 3,275万円 | 3,182万円 | -93万円 |
| 3% | 4,910万円 | 4,539万円 | 4,363万円 | -176万円 |
| 5% | 7,075万円 | 6,233万円 | 6,036万円 | -197万円 |
| 9% | 1億4,397万円 | 1億1,645万円 | 1億1,387万円 | -258万円 |
③ 【パターンP0】60歳で引き出し、特定口座で71歳まで運用した場合
「①の60歳手取り額(現行制度)」を元手に、特定口座で71歳まで運用して全額売却したと仮定した最終手取り額です。
| 運用利回り | 60歳時の手取り(運用元本) | 71歳時点の最終手取り | パターンAとの差 |
| 1% | 2,878万円 | 3,143万円 | -48万円 |
| 3% | 3,307万円 | 4,320万円 | -84万円 |
| 5% | 3,768万円 | 5,901万円 | -145万円 |
| 9% | 4,886万円 | 1億1,039万円 | -340万円 |
結果からわかったこと

数字を並べてわかったことは、主に2点です。
① 差を生んでいるのは「控除」より「運用期間」
60歳受取と71歳受取の金額差は、19年ルールで控除枠が復活したことよりも、単純に11年分多く運用できたことの影響の方がはるかに大きいです。裏を返すと、加入期間を35年から45年に延ばしても(パターンA→C)、手取り額の差は利回り9%でも200〜300万円程度にとどまります。
② どのルートをとっても最終的な差は小さい
9%運用で資産が大きく膨らんだケースで見ても、「60歳で特定口座に移す」「71歳までiDeCoで運用する(どのパターンでも)」「税制改悪される」のどのルートをとっても、最終手取りの差は全体額の数パーセントにとどまりました。出口を最適化したところで極端に差がでるものではない、というのが正直な感想です。
今後の運用方針
シミュレーションの結果、どの受け取り方を選んでも金額的なそこまで大差はつかないことが確認できました。そのため、60歳付近になったときの状況を見て、受け取り時期を判断することにします。判断基準はシンプルに以下の3点です。
- 現金が必要か
- 運用をまだ続けたいか
- 自分で運用管理できる状態か
問題がなければ、基本は71歳まではiDeCoで運用を継続します。
また、60歳以降の拠出期間を延ばすことによる税控除の効果はそこまで大きくないため、iDeCoの控除のために年金の受け取り時期を変えることはしません。年金は年金で独立して判断し、受取時期が決まればiDeCoの拠出期間も自動的に決まる、という順番で考えます。
なお、iDeCoには死亡一時金の非課税枠(500万円×法定相続人)があるのと、受取は75歳で受け取り開始しないといけない(受給期間は5年以上20年以下)というルールもあります。基本長生きリスクの方が大きいと考えているので、今回は検討の対象外としました。
今後、相続税対策として71歳以降の受け取り方も別途検討するかもしれません。その場合は75歳で一時金を1500万円くらい残して受け取って(厳密には金額指定は無理で10%単位の割合指定となるが)、残りは20年で年金として受取るとかになりそうですけどね。ただ確定申告の手間と節税とのトレードオフになりそうですね、、資金的に厳しかったり、手続きが簡略化されて無い限りはやらない、、、かなw
結論としては、自分の場合は、受け取り方でそんなに極端に変わるものでは無いので、
60歳になる1年前くらいに60歳時点で受け取りたいか判断、
受け取らなかった場合は拠出は年金受給開始まで継続し、年金受取以降は運用指図者となり、
71歳(19年ルールを満たす年)の1年前くらいに手間かかっても相続税対策したいか判断(この頃になったら税理士に相談かな)、
運用継続なら75歳前に一時金で大半を受け取って残りを20年かけて毎年95歳まで受給、
ひとまずはこのくらいの認識で良さそうかなという感じです。


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