究極の自由と最大の退屈:『暇と退屈の倫理学』を読んでFIRE後の危機感が具体化

投資

2025/11/1 現在の各種資産状況です。

日経平均は先週終値から6.31%の上昇。S&P500は0.71%のプラス、ビットコインは0.46%のマイナス、米10年債利回りは4.079%(0.075%)、ドル円は0.71%の円安で1ドル153.94円となっています。

Hodoの運用状況としては、金融資産は先週から約171万円のマイナス、比率では0.91%のマイナスです。日経平均が急上昇しているのを横目に、ゴールドが大きくさげカードの引き落とし額も大きかったためマイナスの結果となりました。

Hodoは現在、ブログ名:氷河期FIREの通り、FIRE=経済的自立と早期退職を目指して活動しています。

しかし、正直に言って、FIREしたところで「これといってどうしてもやりたいことがある」わけではありません。無理に探すものでもないし、なければいけないとも思っていませんが、一つ確実なことがあります。それは、FIREすればどう考えても時間が余り、その「暇」で苦労する可能性があるということです。

そんな漠然とした不安を抱える中で、面白そうなタイトルに惹かれ一冊の本を借りました。それが、國分功一郎氏の『暇と退屈の倫理学』です。

哲学書なのに読みやすい!退屈の「構造」がわかった

この本を読み始めて、すぐに哲学書だと気づいたのですが、驚くほど読みやすいことに衝撃を受けました。実際、本書には「原文訳をそのまま引用した哲学者の文章」が数カ所出てくるのですが、何を言っているのかさっぱりわかりません。しかし、著者はそのような難解な議論を、私たち普通の人でも理解できるよう小説のように噛み砕いて説明してくれます。

この本の論理は非常に緻密で、「暇」と「退屈」の定義づけをするところまでに、実に119ページ目まで「寄り道」(おそらく必要なプロセス)をします。

  • 『暇』: 何もすることのない、する必要の無い時間。(客観的条件
  • 『退屈』: 何かしたいのにできない、暇をもてあましている気分。(主観的な状態

退屈の三形式と、仕事の「奴隷」になる理由

本書では、過去の哲学者の理論に従い、「退屈」をその現れ方によって以下の3つに分類しています。

形式定義
第一形式何かによって退屈させられる(待ち時間など)
第二形式何かに際して退屈すること(パーティなどで空虚感)
第三形式なんとなく退屈だ(人生全体が空虚に感じる、最も根源的な退屈)

そして、この「なんとなく退屈だ」(第三形式)が、私たちが日々忙しくしている原因だと指摘されます。

根源的な「なんとなく退屈だ」という声から何とか逃れようとして、私たちは仕事の奴隷になり、その結果として、第一形式の退屈を感じるに至ります。あるいは、この第三形式の声を聞くことを欲しないために「気晴らし」が行われるのが、第二形式(気晴らしなのに退屈)の発端となっています。

同じ「退屈」でも、第一形式のように奴隷に追いやられているわけではない第二形式では、自分に時間を与えており、自分自身に向き合うという姿勢がそこに現れているという点が、この2つの大きな違いです。

FIRE後の人生に突きつけられた危機感

本書を読んで最も危機感を覚えたのは、「退屈というのは人間の宿命である」とわかったことです。

これはつまり、FIREするということは、その宿命に真っ向から向かい合うことになる、ということを意味します。

FIREは「労働からの解放」という客観的なを与えてくれますが、それに見合うだけの「楽しむための訓練」と「思考の習慣」がない場合、その自由は「持て余す自由」となり、自己を内側から蝕む最大の「退屈」に変わってしまうような人生を過ごすことになる、、この可能性に強く戦慄しました。

せっかくFIREするのに、退屈から逃げるために、また何かの奴隷(特に仕事の奴隷など)になることだけは勘弁です。

ソシャゲは「消費」ではないか?

今、Hodoがやっている気晴らし、例えば子供の頃から好きなゲームや、新しい趣味として始めたアニメ鑑賞(週に20本ほど)も、この退屈との戦いだと気付きました。

特に今プレイしているソシャゲを考えると、隔週で運営から提供される新しいイベントを消化するのに手一杯で、楽しい時もあるが、だいたい惰性でやっている。毎日ログインするメリットがあるから、やむを得ずやっている。これはまさに、時間を埋めるだけの「消費」ではないか?

本当に楽しんでいた過去のゲームを思い出せば、システムを深く理解し、攻略Wikiにも載ってない計算式を使ったり、最適な戦略を机上でシミュレーションしてから実際のプレイに臨んだりしていました。チーム戦のゲームでは、ネットで公開されている近似式よりも精度の高い計算式を発見し、チーム内でのみ共有し、勝利へと結び付けていました。

しかし、今はシステムを理解することすら放棄し、ただ運営から提供されるものを、面倒くさいと思いつつひたすら消化しているだけです。

これは、遊び方を見直す時期に来ています。アニメについては、まだ趣味として始めて2年なのでInputを継続するとして、ゲームについては「訓練」の視点をもって向き合う必要があります。

処方箋:「人間」の楽しみの「訓練」を

本書の最終的な結論は、「人間」であることを楽しみ、「動物」になることを待ち構える、というものです。これだけでは何のことかわからないと思いますが、これに至るまでのプロセスを経て、ようやく理解できるものです。詳しくは本書を読んでみてほしいと強く思います。

本書を読んだことで、FIREするということは、究極の「自由の王国」を実現する可能性と、最大の「退屈」と向き合う宿命を併せ持つのだとわかりました。

Hodoは一歩前進できたような気がしています。FIRE後に退屈に苦しまないために、楽しむために訓練し、環世界に閉じこもる(没頭する)べく、そのような機会たり得る場所で待ち構えたい

『暇と退屈の倫理学』は、FIRE達成者が直面するだろう退屈への処方箋を提供してくれる良書です。是非おススメします。

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資産集計結果

パッシブ運用、その他も含めたトータルでの集計結果です。

内訳評価額先週比配分比率目標比率
株式・金77716455+964602345.5%40%
債券9928914+8485.8%5%
FX・CFD53389175-1087615431.3%40%
暗号資産29775015+2437217.4%15%
FI達成レベル124/100-2

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