金ETFの異常な「乖離」を利用した裁定取引で利益確定! 次のチャンスはあるか?

投資

2025/10/25 現在の各種資産状況です。

日経平均は先週終値から3.61%の上昇。S&P500は1.92%のプラス、ビットコインは5.69%のプラス、米10年債利回りは4.004%(-0.009%)、ドル円は1.53%の円安で1ドル152.85円となっています。

Hodoの運用状況としては、金融資産は先週から約15万円のプラス、比率では0.08%のプラスです。ゴールドの下げや利益確定分の源泉徴収で大きくマイナスも、ビットコインのリバウンド、株高円安でトータルではほぼ横ばいの結果でした。

前回記事で、Hodoが保有する東証上場の金ETF「純金上場信託(1540)」に大きな乖離が発生し、資産集計が約300万円も上振れしているという「見せかけの資産増」についてお話ししました。

この乖離は、ETFの実質価値(純資産価値:NAV)と市場価格が大きくズレている状態であり、いずれ市場価格がNAVに近づく(この場合は下がる)ため、実力値ではありません。

今回、この「見せかけの300万円」を本物の利益に変える「裁定取引」を行いました。今回は、その取引の実行とその顛末、そして今後への教訓について解説します。

異常な乖離をチャートで確認

まず、今回生じた1540の乖離が、どれほど異常な事態だったかをチャートで確認しました。

図1:金ETFの異常な値動きの比較

東証には複数の金ETF(上場投資信託)が存在します。図1は、主要な金ETFの値動きを比較したものです。

銘柄上昇率備考
純金上場信託 (1540)+64.44%市場価格がNAVから大きく乖離している状態
他の金ETF (314A/1326)+38.55% / +38.41%実質的な金の価格上昇率に近い水準

ご覧の通り、1540だけが60%以上という異常なリターンを叩き出しており、他の金ETF(約38%)との間に約26%もの大きな差が生じていました。この差こそが、いずれ解消されるべき「乖離」であり、「実力値ではない」部分です。

この乖離はいずれ収束し、1540の価格は他のETFの推移(実質価値)に引っ張られて下落するはずです。

2:1540 乖離率の長期チャート

図2は、1540の乖離率(NAVに対する市場価格の割高度合い、単位はパーミル)の長期チャートです。

通常、乖離率は0%付近で安定しており、今回の水準は極めて異例であることがわかります。前回これほどの乖離がついたのは、2024年の4月頃に12%程度をつけた時で、このように乖離が広がるのは年に1回あるかないかというレアなチャンスなのです。

裁定取引の決断:税金を払っても得か?

乖離の事実を知ったHodoは、この「ほぼノーリスクの利益」を確定させるため、以下の裁定取引(アービトラージ)を決断しました。

  1. 高値で売る:現在保有している乖離した1540を売却し利益を確定する。
  2. 実力値で買う:売却資金で、乖離していない他の金ETF(314Aなど)を買い戻す

ただし、この取引には大きな懸念がありました。現在保有している1540は60%以上の利益が出ているため、売却すると直ちに利益の20.315%が税金として源泉徴収されます。

税金分だけ再投資に回せる資金が減り、複利効果が小さくなることで、将来の利益が目減りする可能性があるのです。

この懸念を払拭するには、「裁定取引による利益」が「税金徴収額」を上回る必要があります。計算の結果、乖離が8%以上あれば、税金を払っても投資元本が減ることはなく、この心配は解消されることが分かりました。

また、将来の金融所得課税増税や、特定口座源泉徴収の社会保険料算定への反映(2028年以降)の可能性を考えると、「税金の安い今のうちに払っておく」ことは、少額ですがメリットもあります。

図3:直近の乖離率推移(ロウソク足、単位はパーミル)

Hodoが乖離を知った時点では、すでにネットで話題になっており、「週末を挟むと乖離が解消しているのではないか」という不安がありました。図3が示すように、10/17の終了時点では乖離率は18%もありました。

10/20(月)が始まると、始値でさえ乖離が13%も残っているという絶好の「逃げ場」が提供されました。Hodoはこのチャンスを逃さず売却を進め、最終的に平均15.5%分の乖離を確定することができました。

もしもっと早く気付いていれば…

ピークは10/17に30%弱をつけていたため、「もっと早く気付いていれば」という思いはありますが(笑)、知っていれば知っていたで、逆に早い段階で利確してしまい、ピークに近い額までは得られなかったとは思います。

乗り換えの試練:ハイレバと金の大幅下落

売却は成功したものの、Hodoの場合、次の問題がありました。保有株をFXの担保にしていたため、1540の売却資金がすぐに株口座に戻らず、FX口座に2営業日後に反映されるという制約があったのです。そこで、資金が株口座に戻るまでの期間、以下の代替措置を取りました。

  • CFD口座で同額のXAUUSD(ドルベースの金)を購入
  • FX口座で同額のUSDJPYを購入

これにより、実質的な金のポジションを維持しましたが、調達金利がかかるため、経費率は金ETFより高く、あくまで一時的な繋ぎです。

最大の誤算は、この乗り換え期間中に発生しました。

10/21に金価格そのものが約5%と大きく下落したのです。ハイレバレッジでXAUUSDを保有していたCFD口座は、この暴落により資金が80万円も目減りするという痛手を負ってしまいました。株口座のときに減ってくれれば税金が減ったのですが、まあ仕方ありません。

現在は、売却資金がFX口座に反映され次第、株口座に振り替えて314Aなどの乖離の小さい金ETFを買い戻す作業を順次進めています。乗り換えはまだ完了しておらず、もう数ループかかる見込みですが、着実にポジションを適正化しています。

次のチャンスを掴むために

今回の裁定取引は、予期せぬリスクも伴いましたが、乖離による利益をほぼノーリスクで確定させるという目標は達成できました。

図3が示す通り、1540の乖離率は現在1.8%まで収束しているとはいえ、購入した時点で1.8%もの損が確定するわけで、まだ買い戻せる水準ではありません。今後乖離が落ち着いた後には1540を買い戻し、次のチャンスに備える予定です。

今回のことで、1540の乖離は非常に広く認知されたため、次は「乖離がすぐ発見され解消されてしまう」かもしれません。しかし、「ほぼノーリスクで利益が取れるチャンス」は投資において滅多にありません。今後もこうした市場の歪みを逃さず、きっちりと利益をものにしていきたいものです。

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資産集計結果

パッシブ運用、その他も含めたトータルでの集計結果です。

内訳評価額先週比配分比率目標比率
株式・金68070433-917972239.6%40%
債券9928065+106035.8%5%
FX・CFD64265329+731767837.4%40%
暗号資産29750643+139094517.3%15%
FI達成レベル126/100-1

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